Q&A

材質に関するQ&A

■材質

鉄と鋼は、違うのでしょうか?


含まれる炭素の違いです。炭素含有率が2%以下のものが鋼で、それ以上のものは鉄(鋳鉄)です。身の回りのもので、鉄と思われているもののほとんどが鋼で、高炉で作られた銑鉄は、
転炉での製鋼工程により鉄から鋼になります。鋼は鉄と炭素の合金なので、炭素鋼と呼ぶ場合もあります。また、普通に使える材料の意味で普通鋼と呼ぶ場合もあります。


SWCHとは何でしょうか?


SWCHは冷間圧造用炭素鋼として規定された鋼材です。
SWCHはSWRCHを伸線した鋼材で、ネジやボルト、ナット、リベットなどの材料としてよく使用されています。ねじやボルトで使われる場合、条件にもよりますが、強度区分8.8までの製品として使われます。

S=CARBON STEEL 炭素鋼
W=WIRE 線
C=COLD 冷間
H=HEADING 圧造


SWRCHとは何でしょうか?


冷間圧造用炭素鋼線材の事です。製鋼メーカーで作る線の元材料です。
SWRCHからを伸線してSWCHを作ります。

S=CARBON STEEL 炭素鋼
W=WIRE 線
R=RODS 材料
C=COLD 冷間
H=HEADING 圧造


冷間圧造用炭素鋼線(SWCH)には、どんな種類があるのでしょうか?


「リムド鋼」と「キルド鋼」があります。リムド鋼とは、転炉出鋼時に脱酸用の添加材を使用せず、溶存酸素が多いまま造塊鋳型に鋳込んだ鋼です。
表面には、リム層が出来るので、リム(ふち)鋼と呼ばれております。キルド鋼とは、熔鋼の中にアルミニウム等を添加し、充分に脱酸を行って鋳込んだ鋼です。
脱酸が十分に効いているので、固まる時にCOガスの放出がなく静かに凝固します。死んだようにとの意味でキルド(KILLED)鋼と呼ばれております。
SWCH10RのRはリムド鋼のR。SWCH16AのAは、アルミキルド鋼のAとそれぞれ表記します。


高強度の材料は、どんなものが使われているのですか?


機械構造用炭素鋼は、S**Cと表記されております。**の箇所には、引張強さの規定があり、S45Cなら0.45%、S35Cなら0.35%の炭素(C)を含んでおります。焼入れ性がよく強度区分8.8などのボルトに使用されております。他にも、下記ような鋼材があり、ニッケル、クロム、モリブデンなどを添加すると焼入れ・焼き戻しに対する特性も良いので、熱処理をして高強度を出す事が出来ます。

ニッケルクロム鋼鋼材 SNC***
ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材  SNCM***
クロムモリブデン鋼鋼材 SCM***
高温用合金鋼ボルト材 SNB**


ステンレスはなぜ錆びないの?


鉄に10.5%以上のCr(クロム)を含ませると、主成分の鉄が酸化するよりも先にCr(クロム)が空気中の酸素と結合し、表面全体に酸化クロムの膜ができます。
この膜は1~3nm(ナノメートル)と非常に薄く無色透明なので見えません。
緻密で安定した被膜のため酸素を通さず鉄の欠点である酸化現象(錆)を防ぐ働きをします。この膜を不動態被膜といいます。不動態被膜には、自己修復性があり、破れても鋼中のクロムと大気中等の酸素と反応し瞬時に同じ被膜を再生します。酸素がある限りステンレスの表面は不動態被膜によって保護されている事になります。 (1nm=100万分の1mmです。)


ステンレスの種類はどんなものがあるのでしょうか?


①フェライト系ステンレス-代表鋼種はSUS430(18%クロム)です。オーステナイト系よりは加工性・耐食性が劣ります。(近年製鋼技術の進歩により、耐食性がいい商品も開発されている。)溶接性は良く、磁性があります。

②マルテンサイト系ステンレス-代表鋼種はSUS410(13%クロム)です。焼入れにより硬化するので、成分と熱処理を選ぶ事に広範囲の性質が得られ、刃物やシャフトなど硬さが必要な箇所に使用されています。溶接性は良くなく(割れが発生する)磁性があります。

③オーステナイト系ステンレス-代表鋼種はSUS304(18%クロム8%ニッケル)です。溶接性・耐食性・高温強度。低温靭性に優れ冷間加工性も良い。磁性はないですが、冷間加工すると金属組織がオーステナイトからマルテンサイトへ変態し若干の磁性を帯びます。

④二相ステンレス-オーステナイト相がフェライト相中に混合した金属組織。耐海水性・耐応力腐食割れ性に優れ、強度が強いのが特徴です。冷間加工性に劣っており、磁性があります。


ステンレスの表面処理はどんなものがありますか?


パシペート処理(不動態化処理)-油脂や鉄分等の不純物を除去した後、硝酸に浸漬し酸化クロムの膜を生成させ耐食性を向上させます。
ステンレス電解研磨-電解研磨によって、微細なバリ。残留異物を取り除くことにより、光沢が出、また、表面が滑らかになり不純物の付着が極めて少なくなる事から、
電解研磨後に不動態化処理を行う事により、更に耐食性を増します。また、熱を加える事によりブロンズ色や温度によりブロンズの濃淡をつける事も可能です。


ステンレスの錆の原因は?


ステンレスの主成分は鉄なので、当然、錆びる事があります。主な、錆びの原因は以下の通りです。
①異種金属の付着-鉄やアルミ等異種金属の粉末が付着した状態で放置した場合もらい錆となる事があります。また、鉄や亜鉛等異種金属を接触した状態で使用されると接触部分に同じくもらい錆が発生する事があります。
②塩分の付着-海岸地帯の建物に使用されているステンレスが潮風に含まれている塩分を付着したまま放置した場合錆びる事があります。また、セメントの砂が海岸の砂を使用されている場合にも、
塩分が多く含まれ、同様にコンクリートから塩分がステンレスに付着し錆びる事があります。
③煤煙・亜硫酸ガス等の付着-排煙中に含まれる煤煙・塩化物の有害物質の付着や亜硫酸ガスの影響を受けた状態で放置されると錆びる事があります。最近ですと、酸性雨を同様な事は言えます。
④洗浄薬液の付着ー汚れ。錆落とし用の洗浄液を使用した際、成分が付着したままの状態で放置しますと、錆びが発生します。洗剤が残らないようにふき取って下さい。
⑤その他-直接の原因ではありませんが、指紋や手垢・油脂類・セメント糊等が残った場合、有害成分が付着しやすく、除去しにくいので錆の原因になります。


チタンのねじは一般的には、どのような材料になりますか?


特に記載がない場合は、工業用純チタンが材料です。他に、チタン合金がありますが、硬い為ヘッター加工には向いておりません。
材料鋼種としては、TW270,TW340、KS50等があります。


チタンは、どのような場所で使用されていますか?


錆びない事が大きな特徴なので、化学プラント、屋根、外壁、海岸地帯、医療用、温泉等で使用されております。


チタンは強いと言われておりますが、本当ですか?


チタンは比強度が大きい金属なので、強い金属と言われます。(比強度=耐力/密度)同じ面積と長さを持つチタン丸棒とステンレス鋼があり、
同じ応力を支えるとすると、チタン丸棒の約半分です。同じ重さなら、チタンの方が大きな丸棒となり、大きな負荷に耐えられます。


チタンは、ステンレスのようにカジリつくの?


チタンの表面にかじりつき現象が起きることがあります。通常では特にコーティング等はしておりませんが、
大きな問題になる場合はほとんどないので、処理していないのが現状です。
完全に防ぐ場合の表面処理技術は、現段階では開発されておりません。


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