ドリルビス/ドリルねじの概要
(1)ドリルビス/ドリルねじの機能
ドリルねじは、①下地鋼材に下穴をあける(ドリル機能〕、②下地鋼材にめねじを形成する(タップ機能)、③締結物を下地鋼材 に押さえつける(締付け機能)の3つの機能を一工程で行う大変便利なねじです。
締結物が不要になれは。ねじを切断しなくとも逆回転させれば撤去できます。
これらの機能を発揮するために、各部の形状や硬度、靭性などの機械的特性および性能と経済性を考慮して用途に応じたねじを設計しています。
(2)ドリルビス/ドリルねじの用途の広がりと設計
ドリルねじは主に、建築板金の屋根/壁工事において薄い被締結材(0.5~ 0.8mm程度の屋根材/壁材/金具)の固定や木材、ALC、サイディングボードなどを下地鋼材(リップ溝形鋼1 .6 t以上)に取り付ける際に使用します。
納め方に応じて材質、表面処理、頭部形状、切り刃形状、ねじ形状、座金類などを検討しますが、通常の使用法を想定したドリルねじには「細くて硬 い」という共通点があります。ドリルねじには鉄工ドリルと同様のドリル機能が必要で、その機能を発揮するためには下地鋼材以上の硬さが必要なためです。ところがこの「硬さ」は、「脆さ(折れやすさ)」にもつながります。この「脆さ」を極力抑制するために様々な工夫を凝らして前述の用途において想定される引抜き、せん断やねじりトルクなどの負荷に耐えるねじに仕上げています。
近年、ドリルねじの認知度の広まりや建築工法の多様化に伴い用途も広がっています。用途によってはドリルねじの特性を超える負荷がかかる可能性もあります。いかなる用途においても、設計段階ではドリルねじにどのような力が負荷され、どの様な環境で使用されるのかを正しく評価した上でサイズや数量を決定する必要があります。
(3) ドリルビス/ドリルねじの施工技術
熟練者が施工している姿を見ると、ドリルねじは誰にでも簡単に施工できるように見えますが、実際には一定の技量が必要です。施工面に対して垂直にねじ込めるか、適正な回転数を維持できるか、過剰締め付けをしないか、施工中(特にドリル中)ねじを倒さないか、などのポイントが挙げられますが、これらの技量は経験によってしか体得できません。
(4)接合の破壊パターン
ドリルねじによる接合が外力により破壊する形態には主に以下のパターンが挙げられます。